そのダイエット法は正しいのか?

「疑問を持つ」ことから
研究がはじまる

地域・年代の異なる4グループに調査を実施し
女性の隠れ肥満を研究

 研究

2016年、櫻井先生の研究チームは全国4か所で実態調
査を開始。20〜70代の地域住民、30代の地域住民、10代
後半〜20代前半が中心の専門学校に通う女性、20〜30代
の医療機関勤務者の4グループから、男女併せて計638名
のデータを収集しました。
測定したのは、①内臓脂肪測定、②体組成測定、③握力測
定、④ロコモチェック、⑤骨密度測定、⑥血液による測定の6
種類。②の体組成測定とは、右腕・左腕・体幹・右脚・左脚に分
けて体水分量や筋肉量、体脂肪量などを測るもの。④のロコ
モチェックとは、ロコモティブシンドローム(筋肉・骨・関節など
からだを支える機能に問題が起き、「立つ・歩く・走る・座る」と
いった日常生活に必要な移動に関わる機能が損なわれる症
状)の可能性を調べるもので、値が低いと将来寝たきりや要
介護状態になりやすいといえます。研究チームは実測調査で
得られたデータを整理し、現在も多方面から分析を進めてい
るところです。
研究も3年目に入った2018年、少しずつ興味深い分析結
果が得られるようになりました。
「従来、肥満は体脂肪に関連すると言われていました。しか
し、より細かく体のそれぞれの部位の体組成を調べていくと、
特に、見た目は太って見えない「隠れ肥満」では、身体の部位
別の筋肉量が関係していることがわかってきました。今後さ
らに詳細な分析をして、多くの根拠をもとに判断しなければ
いけませんが、特に若い世代の女性の隠れ肥満の場合には、
上半身の筋肉量と関連する可能性がありそうです」
分析を進める一方で、櫻井先生は調査に協力してもらった
順位 機関種別名 機関名 新規採択累計数
1 私立大学 聖路加国際大学 22.0
2 公立大学 高知県立大学 21.0
3 国立大学 東京大学 19.0
4 公立大学 埼玉県立大学 15.5
5 国立大学 神戸大学 14.0
5 国立大学 長崎大学 14.0
5 私立大学 順天堂大学 14.0
8 国立大学 筑波大学 13.0
9 公立大学 長野県看護大学 12.0
10 国立大学 大阪大学 11.5
■生涯発達看護学 29年度
若者に「隠れ肥満」が
増えている?!
看過できない
糖尿病との関連性
「隠れ肥満」には
上半身の筋肉量が関係?!
基盤研究
(B)
若年女性の現代的特性に着目したダイエットの実態隠れ肥満の健康に与える影響
大学院 医療看護学研究科 [公衆衛生看護研究室] 櫻井しのぶ 教授
順天堂大学 P56
大学情報
医歯薬学 看護学 生涯発達看護学
研究力が高い大学 2018 49
自治体や医療機関で報告会を開催し、協力者一人ひとりに測
定結果を伝えました。協力者の間では、ロコモチェックなど、
なかなか受ける機会のない測定や検査を受けることができ
たことに大きな反響があったそうです。
「ロコモチェックについては隠れ肥満と直接の関連性が見
つからなかったものの高齢者の方々の関心が高く、普段運動
をされない方のやる気を喚起する効果があったようです。自
治体からは継続した測定や指導のご要望を受け、健康教育に
関する講演会も開催させていただきました」

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