そして本来の目的であった若い女性のダイエット方法につ
いても、本研究の成果を活かして研究を進めていきたいと櫻
井先生は語ります。
「高校生にとってダイエットはとても関心の高いものでしょ
う。しかし、若い世代に痩せすぎの女性が増える一方で、隠れ
肥満も存在するという、いびつな構造が見えてきています。
従来、肥満には有酸素運動が有効とされ、ウオーキングなど
が推奨されてきました。もちろん有効であることに間違いあ
りませんが、筋肉を鍛えることによって、より肥満が解消され
ることがこの研究の結果から見えてきています。一見関係の
ないように見える、上半身を鍛えるような運動が効果をもた
らすかもしれませんし、握力を鍛えることも大事な視点かも
しれません」
続けて櫻井先生は、高校生に向けてこう話します。
「今、世の中にはTVや雑誌、ネット上にいろいろな情報が
あふれています。ダイエットの情報についてもそうです。高校
生の皆さんは、こうした世間にあふれる情報を見て、常に疑問
を持つように心がけてください。どんな研究も疑問を持つこ
とから始まるからです。そしてもし将来、看護師として臨床に
立つ機会があれば、単なる感覚ではなくさまざまなエビデン
スを調べて自分なりに組み合わせ、患者さんへの指導に活か
してください。患者さんの一生を考えたとき、病院で看護師
が接する時間はごく一部。そのため帰宅後の看護指導が必須
で、患者さんの状態を見極め、予防の観点からも助言ができ
なければなりません。その点でも“疑問を持つ”ことが重要な
のです」